2010 |
03,11 |
«探索十七日目»
16日はきっとキンクリで・・・
チェスカは、頬に手をあて悩んでいた。
露天に並んだある物を一点に睨みつけている。
ムム・・・と呻き声を上げ、PSの入った袋を取り出し、勘定しはじめた。
「・・・おい、兄ちゃん。いつまで、そうやってんだ?」
店主は呆れて声をかけるが、反応がない。困ったような呆れたような笑みを浮かべ頭を掻いている。
「だァ! わぁった。俺の負けだ!」
我慢できなくなったのか、店主は叫び、膝をバンバンと叩きいう。
「ほら、もうそれ200PSでいい。だから、とっととどっかいってくれ。商売の邪魔だッ!」
その言葉にチェスカの目が輝いた。
「フフ・・・アーッハッハッハッハッ! そうか! ならばよかろう、このチェス盤と駒。200PSで買い取ってやらんこともないぞ!
この大貴族フr・・・チェスカ様に買い取って貰えるとはありがたく思えよ、庶民ッ!」
「・・・貴族なら、そんな悩まずに買ってくれ」
店主の言葉にチェスは少し顔を赤らめ、無言で200PSを支払い強奪するようにチェス盤と駒を奪い去った。
小走りに駆けるチェスの顔はニヤニヤと緩んでいる。
(クク・・・こいつでシスターを華麗にかつ完璧に負かせば、奴も少しは俺様に偉そうな態度とれなくなるだろ・・・!
クフフ・・・奴の悔しそうな顔が眼に浮かぶ)
チェスは、小さくただいま。と、呟きいつもの宿屋に入っていく。
説教されて少しは見直すようになったのか、挨拶はきちんとするようになったようだ。
自室を無視してルフィナの部屋を目指す。
そして、許可もなく乱暴にドアを開いた。
「おい、シスターいるか!? 俺様とチェスで勝負しろ。あ?負けるのが悔しいから嫌だって?
アーッハッハッハッ! そうだろそうだろ、俺様ってば天才だからな。お前が、そう怖気付くのも分かるぞ?
さぁ、勝負を前に負けを認めて『チェス様、もう偉そうなことは言いません』と、ひれ伏すか、勝負に負けて『チェス様、今まで非礼申し訳ございません。うわぁん』と、泣いて謝るか選ばしてやるぞ!
アーッハッハッ!」
彼女は部屋に居なかった。が、いつもの俺様世界(ワールド・オブ・チェスカ)に入り込んでいるので気付いていない。マヌケである。
「・・・あ? おい、シスターなんとか言え。おい、聞いてんのかおい」
ようやく気づいたのか部屋を見渡し始めた。
「あ? 怖気付いて隠れてんのか? アーハッハッハッハッ! なら、見つけてやるよッ!」
何を考えているのか、チェスはそのままベッドに荷物を置き、彼女の部屋を無断で詮索しはじめるのであった。
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みく(ノイズ)
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35
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男性
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1988/12/28
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大学生という名の自宅警備員
趣味:
読書 音楽鑑賞(メタル・クラシック・洋楽パンクロック)
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