2010 |
03,29 |
«探索二十二日目»
更新をすっかりうっかり忘れていた・・・!
どうでもいいけど、日記を読みなおすとナゾに恥ずかしくなるのはなんでだろっ!
遺跡外は何時ものように賑わっていた。
正直、人が多い場所って言うのはあんまり得意じゃない。
いや、得意じゃなかったみたいだ。
「おっ、そこのお兄さん暇かい?」
と、何やら声をかけられた。
声の主を見ると、髭を蓄えた偉そうな男がいた。
無視をしよう。うん、そうしよう。
俺は無視して歩く。
「おいおい、無視はひどくないかい?」
チッ、しつけぇなこの髭。
「・・・なんだよ、おっさん。俺様こう見ても忙しいんだよ」
邪見に答えるが、髭は気にしてないのか愉快そうにハッハッハッと笑い話を続けた。
「まぁまぁ、お兄さんそうカリカリしなさんな。それより一つゲームをしないかい?」
は? ゲームだ?
「そう、ゲームだ」
髭の男はピンと指を弾き俺を指差しニヤリと笑った。そして、チェス盤を俺に見せる。
チェス・・・か。
そういや、こないだチェス買ったのに結局やらず終いだったな。
「単純なゲームさ。買った方が負けた方に全PSを支払う。どうだい、わかりやすいだろ?」
おいおい、たかがゲームで全資金を取られるなんざ、割に合わないだろ。
やめだやめやめ。
「そうかい、でも、残念ながら興味がないんでとっとと失せろ」
シッシッと手を払う。
「・・・ほぉ、全財産とられるのが怖いのかい?」
・・・フフ、ずいぶんとまぁ安っぽい挑発だ。
この俺様がそんな挑発に乗るとでも?
「・・・ほら、席につけおっさん」
乗ってしまった。
髭はニヤリと嫌な笑みを浮かべる。
なるほど、相当自信があるのだろう。
「じゃあ、はじめようぜ。おっさん?」
白いルークを掴み俺も負けずニヤリと大胆不敵に笑みを浮かべた。
―――
――
「――チェックだ、おっさん」
コツンと、ポーンをキングの斜め前に置く。
髭はよほど自信があったのだろうか、額に汗を浮かべ唸り声をあげる。
髭の様子が愉快で仕方がない。
「おいおいおいおいおいおいおいおい、おっさん早くしろよ。それとも、あれか? リザインするか? アーッハッハッハッ!」
楽しくって仕方がない。
戦闘なんかより、ずっと面白い。
自分で戦場を作り上げて行く感覚。楽しくって仕方がない。
髭は苦し紛れにキングをE7へと移動する。
おいおい。
「おっさんよぉ、それはブランダーだぜぇ?」
フフフ、と思わず呆れて笑ってしまう。
「お前、そんな弱い癖に、この俺に挑んできたのか? 自分の程度を知らないなんざ哀れな男だなぁ!?」
ナイトをD5へ。
「チェックメイト」
声と同時にナイトを置く。
詰んだな。
髭は力なく首をうな垂れる。
「――ほら、お前の金。全部よこせ」
髭は顔を上げ俺を見つめる。その目は先程とは違い自信も何もないくもりガラスのような目へと変化していた。
まるで、見逃してくれ。無しにしてくれ。と、言わんばかりの目だ。
実に哀れだな。
「なんだ、見逃せってか? そんなバカな話ないよなァ? だって、てめぇから吹っかけた勝負だぜ? もし、俺が負けて今のお前みたいに見逃してくれと言ったらお前は見逃したか?
見逃さないよなァ?」
愉快だ。
愉快で愉快で仕方ない。
今にも大笑してしまいそうだ。
髭は震えながら自分の懐に手を入れる。
・・・なんだ、案外素直に従うのか。つまらないな。
「おじさん、そんなの払わなくていいよ」
と、髭の手を誰かが静止した。
「あァ?」
声のする方を見ると、そこには良くしった奴がいた。
「ちょっと、チェス可哀想じゃない。許してあげなさいよ!」
「そうだよ、流石にちょっと可哀相だよ?」
キキとララだ。
ていうか、何が可哀想なんだ?
「こいつから、賭けを言い出したんだぜ? 俺様に非があるのか? 無いよな?」
「でも、全財産は可哀相だよぉ・・・」
キキは言った。相変わらず甘い奴だな。
周りにはいつの間にか人が集まっていた。
今見た連中からしてみれば、悪者は俺で髭が可哀想な被害者。って構図だな。
ハァ・・・、興が覚めた。
「・・・ハァ、おっさん全財産はもういいわ」
その言葉に髭の瞳に生気が戻る。
「その代わり、そこの饅頭・・・っていうのか? それを俺とこの二人におごれ」
全く、すごいPSを手に入れるチャンスだったってのに・・・もったいねぇ。
そんな俺にやるじゃん。と言わんばかりに満面な笑みを浮かべる二人。
ほんと、変な奴だ。
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みく(ノイズ)
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1988/12/28
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読書 音楽鑑賞(メタル・クラシック・洋楽パンクロック)
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